院長からのメッセージvol.6

 

日本でもいよいよ医療従事者に対する新型コロナウィルスのワクチン接種が始まり、もうすぐ高齢者への接種も始まります。

 皆さんはワクチンに関してどれくらいの知識をお持ちでしょう。

ワクチン接種によってどんな効果あるのでしょう。

漠然と病気にかからないと考えている方も多いと思います。

感染予防と発症予防の違いが分からない方も多いかもしれません。

感染は病原体が体に侵入し増殖することで、発症は感染して症状が現れることです。

感染しても発症していない場合不顕性感染となるいわゆるキャリアです。

この状態では、本人が気付かずに他人にうつしてしまう可能性があります。

今回のワクチンの95%の予防効果とは発症予防の方です。

ワクチンを打ったから三密になっても大丈夫というものではないのです。

インフルエンザのワクチンでも、接種したのに罹ってしまった方がおそらく周りにいらっしゃるのではないでしょうか。

中にはワクチンを接種したのにA型・B型両方に罹ってしまったというケースもあります。

ワクチンは打ったから感染を完全に防ぐといったものではないのです。

 

少し前の記事なのですが、京都大学名誉教授の川村孝先生の「新型コロナウイルス感染症に関する論考(続編)2020.11.20」をネットで見つけました。ワクチンに関して過剰な期待を持っている方たちに是非読んでもらいたい内容でしたのでざっくりと書きますと…

 

ファイザー社製ワクチンの有効性が95%と発表された。

43661人が参加して、41135人が2回接種を受けている。

プラセボ群2万人中162人発症・実薬群2万人中8人が発症して、162に対して8だから約95%防いだ。

2万人に対して154人がワクチンの恩恵を受けたということ、逆に考えればワクチンを打たなくても99.2%の人の運命は変わらない。もし重い副反応が実薬群1%に出たらワクチンのメリットは無くなってしまう。

…とこんな感じです。その他様々な興味深い話が難しい専門用語など使わずに書いてあるので是非御一読を。

 

私は、ワクチン接種のメリットとデメリットを天秤にかけてメリットが大きい場合に受けた方がよいと考えます。

例えばワクチンを接種すると感染症は防げるが、20年後にがんを発症するとします。

高齢者で感染症により数日で命を失ってしまうようなケースでは、20年後にがんを発症したとしてもメリットの方が大きいでしょう。

逆にこれから20年以上生きてかつ重症化のリスクが低い人が、20年後にがんを発症するとすればデメリットの方が大きくなるでしょう。

老若男女全てのリスクが同じ訳ではありません。

とは言え重症化のリスクの低減はできると思いますので、よくよく考えてワクチン接種を受けましょう。

もう一つ川村先生の論考を読んで私が思ったのは、1回しか接種していない人が2526人いるがその人たちの感染状況・副反応に関しては記事からは分かりません。

まさかとは思いますが私が怖いのは、強い副反応が出たために2回目の接種ができず、2回接種していないためカウントされていないという可能性です。

 

コロナ禍という言葉がありますが、私には人災の部分が大きいように思えてなりません。

日本のマスコミは根拠のない安心を植え付けたり、不要な不安をあおるのではなく、分かりやすく誤解を生まない正確な情報を報道するようにして頂きたい。(数字は嘘をつきませんが意図的に与えるイメージを変えられます)

ハイリスクの方以外は、重症化のリスクとワクチンの安全性を比べて自分で考えて接種を受けてほしいと思います。